【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


「ごめんね、太陽。心配かけて」

「急に用事って……。なにがあったんだ?」

「ぁ、う、えっと……それは、あの、一緒に住んでる人との用事?を、思い出して……」


迂闊だった。

言い訳を考えてから登校すればよかったのに。


咄嗟に頭をフル回転させて口から出ていたのは、稚拙な出まかせだった。


すると太陽がわずかに眉をひそめる。


「一緒に住んでる人って、親戚のお兄さんって人か?」

「うん、そうだよ」


愛人として買われました、なんて本当のことをいえるはずもなく、環にも太陽にも心苦しいけれどそう言っている。

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