【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
すると、突然腕を掴まれた。
はっとして顔を上げれば、なぜか怒りを瞳に滲ませた太陽がそこにはいて。
その眼差しは私の首元に注がれている。
「首のそれ、なんだ?」
「え……?」
「キスマークか……?」
そういえば昨日、琥珀くんに首に何度もキスをされた。
その時にできた痕だって、見なくてもわかる。
慌てて右手で首に触れる私に、太陽が歯を食いしばるようにぽつりと呟いた。
「こんなの独占欲でしかねぇだろ……。だれにやられた?」
太陽の追及に、私は腕を掴まれたまま顔を逸らす。
「ぃ、いえない……」
なんでか、言えなかった。
琥珀くんの素性がバレるわけにはいかないのはもちろん、なんでか後ろめたくて。