【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
「莉羽らしくねぇよ、こんなの」
声に顔を上げれば、時が止まったように、視線がかち合ったまま逸らせなかった。
だって太陽の瞳が、見たことないくらい真剣で切実だったから。
「たい、よう……?」
と、その視線の交わりを、1時間目の授業が始まるチャイムが断ち切った。
今までは、その顔を見れば手に取るようにその感情がわかった。
それなのに今は、太陽がなんで怒っているのかわからない。
初めて私は、幼なじみの感情を見失った。