【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
顔を上げれば、そこにはいつもの色つき眼鏡をかけ、ガードレールに腰かける彼がいて。
「えっ、琥珀くん……!?」
あまりに浮世離れしたオーラを纏う琥珀くんは、雑多な景色からはひどく浮いている。
そんな自分の美しさになんて無頓着そうな琥珀くんは、へらりと笑う。
「おかえり、莉羽ちゃん」
「琥珀くんがなんでここに……っ」
「はは、驚いてんな。仕事が早く片ついたから、たまにはおまえの迎えに行こうかなって思ったんだよ」
「わ、わざわざですか……?」
琥珀くんがお仕事で忙しいのは知ってる。
それに普段琥珀くんは昼の世界に顔を出さない。
それなのに私なんかのために来てくれたんですか……?
「いーだろ。デートしよ」
そう言って躊躇う私の手を掴んで、歩き出す琥珀くん。