【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


目の前に突きつけられた現実を理解していくにつれて、背筋が凍りついていく。


「愛人になるんだ。お前も知ってるだろう、新宿特区のユズリハさんのことは」

「……え……?」


――ユズリハ。

その名前を再びこのタイミングで聞くことになるなんて。

その人が私を買うなんて。


お父さんとお母さんは、ユズリハから借金をしていたってこと……?


「な、なんで、そんなこと……」


するとそこで初めて、お父さんの顔に狼狽が走る。

そして言いづらそうにもごもごと口を動かす。


「それは……その、若い女は金になるんだ」


お父さんの影で、お母さんはやっぱり知らん顔。

他人事のような眼差しで、畳を見つめている。


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