【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
でもそれは、すべてが嘘で着飾った言葉ではなかった。
心の奥の想いが声になったような……そんな気がする。
「やばい……。だいぶキた」
「え?」
「嘘だってわかってるのに、おまえ、ずるい……」
拗ねるような弱々しい吐息が、私の耳を掠める。
私は琥珀くんの身体をぎゅうっと抱きしめ返しながら、そっと問いかけた。
「琥珀くんはくれないんですか。嘘の、愛してる……」
ほしいと願ってしまった。
子どもがおもちゃをねだるように。