【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
ぎゅうっと下唇を噛みしめ、それから改めて太陽を見上げる。
今日まで私を守ってくれた、大事な大事な幼なじみ。
今から君を傷つけてしまうことを許してください。
「……私、本当は嘘ついてた。今お世話になってるのは親戚のお兄さんじゃなく、血縁関係のない男の人の家なの」
「え?」
太陽が驚きに目を見開く。
「ごめんなさい。でも太陽を心配かけたくなくて……」
ああ、違う。
言いたいのは、こんな言い訳じゃなくて……。
「私、その人のことが好きなの」
一息で想いを口にする。
「だから太陽の気持ちには応えられない。本当にごめんなさい」
頭を下げる。
けれど太陽からはなんのリアクションも返ってこなくて。