【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
数秒ののち頭を上げると、気が抜けたというように小さく苦笑した。
「そう、なのか……。でも本当は薄々わかってた。莉羽に大切な人ができたんじゃないかって」
「え……?」
「莉羽の表情、帰国してから変わってたんだ。それに強がりができなくなってたから」
目敏い太陽の言葉に、私は初めて気づく。
琥珀くんが私にくれた言葉が、私自身を変化させていたことを。
『おまえはさ、どうしていつも平気ですって顔してんだよ。俺の前ではもう強がるな』
琥珀くんのせいで、平気だったはずのことも平気じゃなくなっちゃったんだ。
ほら、今だって涙が込み上げてくる。
私は苦笑した。
「やっぱり太陽はすごいね。私のこと、私よりわかってくれてる」