【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
「もしかして、莉羽を引き取った奴ってこいつのことか?」
太陽がうわごとのようにそう呟く。
けれどそれに答えたのは、私ではなく琥珀くんだった。
「ああ、そうだ。今一緒に暮らしてる。この子は俺のものだ」
「……っ」
その声に滲む独占欲に、どきりと心臓が重く鳴る。
琥珀くんを見上げれば、頭上に真っ直ぐ太陽を見据える瞳を見た。
「あんた、本気か?」
「本気に決まってるだろ。この子のためなら地獄にだって落ちてやる」
琥珀くんの低い声が、私の心音に重なる。
だめだよ、琥珀くん……。
そんなこと言ったら、私ばかだから勘違いしちゃうんだよ。
「行くぞ、莉羽」
琥珀くんが私の腕を引いて歩き出す。
その力に抗う術を、私は持っていなかった。