【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて

するとその時。

突然乱暴に家のドアが開いて、どかどかと家の中に踏み込んでくる騒がしい足音を聞いた。


はっとしてそちらを見れば、黒服に身を包んだ強面の男の人たちが、家の中に入ってくるところで。


「親子水入らずの時間は終わったか」

「待ってください……！」


私は恐怖も忘れて、自分よりずっと大きい黒服の人に食い下がっていた。


「なんだ？」


黄金の髪を揺らし、煩わし気にその男の人が私を見下ろす。

まるで虫けらを見るような瞳。

でも今はそれに臆している場合じゃない。


「あの、一生懸命働きます。バイトももっと増やして毎月必ず返済するので、もう少し待ってくださいませんか……っ？」