【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて




誕生日だからと環がケーキを作ってきてくれて、休み時間は教室で太陽と3人でケーキをいただいた。

そのケーキはあまりにおいしく、忙しい中わざわざ作ってきてもらえたことを思うと、私は感激しきりだった。


去年の誕生日は環も仕事でお休みだったし、太陽は留学中でひとりだったから。

だからお祝いしてもらえることがあまりに幸せで嬉しくて。

目の下に力を入れて涙をこらえていると、環にバレてよしよしと頭を撫でて慰められてしまい、余計に泣きそうになってしまった。


そんな幸せな時間を過ごし、今日最後の授業である6時間目を控えた休み時間。

教科書やノートを机から出していると、机のサイドにかけたスクールバックの中でスマホが揺れたことに気づいた。

……電話だ。


何気なくスマホを取り出した私は、ディスプレイに表示された発信者の名前を見て固まった。


「お母さん……」

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