【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
お母さんの声は、どこか慌てているようで。
「どうしたの?」
『実はね、お父さんが病気で倒れちゃったの……』
「え?」
ぎゅんっと心臓を鷲掴みされたような感覚に陥った。
お父さんが倒れた……?
身体が冷えて、スマホを持つ指先が小刻みに震えだす。
あまりの衝撃にスマホを落としそうになった。
『帰って来てくれないかな。お父さん、莉羽に会いたがってるのよ……』
縋るようなその声に、私は頭が真っ白になっていくのを感じていた。