【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


……でも。

込み上げてくる涙は、ショックよりも悔しさのせいだった。


「……嫌です」


私は震える声で、でもきっぱりとそう告げた。


だって私にも譲れないものができたから。

――それは、琥珀くん。

私に愛を教えてくれた人。


これまでだったら、ふたりに言われるまま、自分の運命を呪うことしかできなかっただろう。

でも私の命はもうふたりの勝手にはさせない。

私の生きる道は自分で決める。


私は琥珀くんのそばを離れたくない。


「もうふたりの言いなりにはなりません」

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