【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


「お前には意思なんていらないんだ!」


お父さんがそう怒声を響かせ、もう一度手を振り上げた時だった。

突然、ドアが蹴破られた。


そして、一気に大勢が家の中に入り込んでくる。

意味もわからないまま呆然と立ち尽くす私は、目の前を通り過ぎた人に、目を奪われていた。


まるで映画のワンシーンのようだった。


突然入ってきた人の群れに驚くお父さんを、彼は目にも留まらぬ速さで抑え込み、そして。


「――白雪剛。暴行罪で現行犯逮捕する」


落ち着き払った声でそう告げた。

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