【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
どれくらい意識を失っていたのだろう。
目を覚ますと、そこは病院だった。
点滴の調整をしていた看護師が、目を覚ました俺に気づく。
『あ! 目が覚めたんですね、よかったぁ』
若い女性看護師は、にこにこと寄ってくる。
自分の身が置かれているこの状況を整理しようとするけれど、頭がずきずきと痛んで、思考に靄がかかっているようだ。
『俺は……』
『運ばれてきたんですよ。でも幸運でしたね、鉄骨の下敷きにならずに済んだんですから』
『俺は助けられたんですか?』
『そうですよぉ。偶然通りかかった中学生があなたを突き飛ばして』
……やっぱり。
最後に見た少女が、俺を助けてくれたのだ。
少女が突き飛ばしてくれなければ、俺の命は間違いなくなかっただろう。