【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
雪のように白い肌を纏うその横顔を見つめる。
『……なんで』
ぽつりと声がこぼれた時、それが届いたかのように彼女の瞼が揺れた。
そして瞼の下からヘーゼル色の大きな瞳が現れる。
あ、と思った時には遅かった。
彼女の虚ろな眼差しは宙を彷徨い、それから俺を捕らえた。
『あれ……太陽?』
ぼんやりとした目で俺を見つめたまま。
でもその口が紡いだのは別人の名だった。
意識が混濁して、別のだれかと間違えているのだろうか。