【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
と、そこで彼女――莉羽は力が尽きたように、ふわりと眠りに落ちた。
それに重なるように。
『おい、あんた、ここでなにしてるんだ!』
怒声が静寂を突き破った。
降り返れば、学ランに身を包んだ短髪の男子学生がそこに立っていた。
こいつが太陽だろうか。
そいつはずかずかとすごい剣幕で迫ってくる。
『あんた、莉羽が庇った奴だろ! よくのこのこやってこられたな! 二度と莉羽に近づくな!』
『でもお礼と謝罪がまだ、』
『そんなのどうでもいい! あんたのせいで莉羽は死ぬところだったんだぞ!』
『……っ』
核心をつかれ、俺は言葉を失った。
たしかにそのとおりだ。
そいつの言うことは否定のしようがない真実。
俺のせいで、あの子の命を危険に晒したのだ。
『すまなかった……』
だからこの時は、身を引くことしかできなかった。
でもこの時、たしかに心に誓ったのだ。
あの子が大人になったら絶対迎えに来るから、と。
――どんな手を使っても、俺は絶対に白雪莉羽を手に入れる。