【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
そして身体を起こし――思わず息を呑んだ。
乱れた前髪の隙間から覗く琥珀くんの深い瞳と、私のそれとがぶつかったから。
彼のオーラに吞み込まれそうになる。
心のすべてを暴かれそうになる。
「だ、め……これ以上は……」
私は目を伏せ、なぞった平仮名を不器用にぶつける。
……ああ、泣きそう。
これを言ったら、もう私と琥珀くんを繋ぐものは、本当に切れてしまう。
でも、言わなきゃ。
「仕事なら、もう触れてくれなくて大丈夫ですから……っ」
「え?」