【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
「……莉羽」
まるで宝物を呼ぶように、そっと優しく、彼の声が私の鼓膜を撫でた。
「黙ってたことは悪かった。でも仕事としてだけじゃない。ずっとおまえがほしかった」
ああ、なんて美しいんだろう。
瞳も、その顔立ちも、存在も、なにもかもすべて。
この人の瞳の中に映っていられることが、あまりに幸せで。
「――おまえが好きだ」
彼の瞳に捕らわれていたせいで、一瞬琥珀くんの言葉を理解することができなかった。
「え……? すき……?」
「そう、好き」
私にずいっと顔を寄せて、まるで子供に言い聞かせるみたいに繰り返す琥珀くん。