【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
でも信じられない。
琥珀くんはどんなに手を伸ばしても届かない、夜の月のような人。
それなのに同じ気持ちでいてもらえてたなんて、そんなの……。
「琥珀くんが、私を……? ほんとに……?」
「そう言ってるだろ。鈍いな、おまえは。俺、だいぶだだ洩れだったと思うけど」
「う、そ……」
「もうずっとおまえのことが好きだよ、莉羽ちゃん。おまえが俺のことを救ってくれた時から」
「私が琥珀くんを……?」
「うん、その時から馬鹿みたいに愛してた」
そう囁いて、頭を撫でながらあまりに愛おしげな目で見つめてくるから。
だから少しずつ、琥珀くんの気持ちが胸の中に溶け込んでいく。
琥珀くんの言葉が身体の中でじんわりと熱を持つ。