【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
「相談ならのってやらないこともないがな」
腕を組んでそう言い放つ東郷さん。
尊大な態度とは裏腹な優しさが東郷さんらしくて、私は思わずくすりと笑う。
せっかくの申し出を断るのも申し訳なくて、小さくぽつりとこぼした。
「琥珀くんになかなか会えなくて寂しいなあと……」
恋心を自覚してからというもの、琥珀くんは仕事が忙しいらしく、ほとんど家に帰ってきていない。
深夜に帰って来ても、私が起きる前にはまた家を出ているから、一緒に暮らしているのにすれ違いの日々。
どんな仕事をしているかはわからないけど、毎日とても忙しそう。
けれど私は琥珀くんへの想いを自覚してしまったせいで、琥珀くんに会いたくてたまらないんだ。
そして……とても恥ずかしいけれど、琥珀くんに触れられたいと思ってる。
琥珀くんに会えなくて、私は体の熱を持て余している。