【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
すると東郷さんは考えるような仕草ののち答えた。
「ああ、大きな案件を抱えてるからな。でもそれも片づいたし、今夜は帰ってくると思うぞ」
「本当ですか」
ぱっと喜びが胸に灯る……のも束の間、東郷さんが続けて放つ。
「まあ、だいぶお疲れだろうけどな。ほとんど休んでないだろうし」
「そう、ですよね」
……って、私はなにをがっかりしてるの。
今夜はもしかして、なんて一瞬でも期待してしまった自分を叱る。
でもそれなら、今夜は琥珀くんが休めるように私も全力でサポートしないと。
そんなことを考えていると、向かい側で東郷さんはにやりと笑った。
「まあ、なにはともあれ、ナカヨシそうでなによりだ」
そのナカヨシ、には含みがあって。
思わず赤面して全力否定したのは言うまでもない。