【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
するとその時。
車が停止し、東郷さんが告げた。
「着いたぞ。ここがあいつの城だ」
車を降りた私を待ち構えていたのは、豪奢な黒光りの高層ビルだった。
新宿特区の煌びやかなビル街の中でもひと際目立ち、異様な雰囲気を放っている。
黒服の人たちに囲まれるようにして、私はエレベーターに乗せられ、最上階へと向かう。
点灯する階数が増えていくにつれて、緊張と恐怖が込み上げてくる。
こんな時こそ、平常心、平常心……。
そう自分に言い聞かせていると、チーンという音ののち、エレベーターの分厚い扉が開かれた。