【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
そしてお風呂を出て、東郷さんが準備してくれたバスローブに身を包む。
バスローブなんて着るのはもちろん初めてだから少し手こずってしまったけど。
東郷さんには、「寝室であいつが待ってる」と耳打ちされている。
寝室の場所を聞くのを忘れてしまったけど、バスルームを出れば、数室あるうちの一室のドアの隙間から仄かな光が漏れ出ていて、そこが寝室なのだとすぐにわかった。
怖い……けれど、ここで逃げるわけにはいかない。
このセキュリティーが万全そうなビルから逃げられるわけないし、逃げられたところでお父さんとお母さんに迷惑がかかってしまう。
私にはもう、ひとつしか選択肢は残されていないんだ。
濡れた髪から、ぽたぽたとバスローブの隙間から素へと水が滴り落ちてくる。
ぎゅうっとバスローブの生地を握りしめ、寝室に向かって歩を進める。