【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


「……っ、は、ん……」


思考が追いつかなかった。


初めてのキスに翻弄され、息さえままならない。


苦しくて、私は思わずユズリハの胸を叩く。

すると何度目かの訴えでようやくキスから解かれた。


私は乱れた息と、赤くなった目を自覚しながら、震える眼差しでユズリハをわずかに睨んだ。


「き、キス、なんで……」

「なんでって。男に抱かれたこともあるくせに、キスくらいでうるせぇな」

「あ……ぅ」


口調は荒くも、ずっと揺るがず落ち着いていた声音が、明確に私を傷つける意志を孕んでいた。

私が言葉に詰まると、直後、流れるような動きで私の身体はベッドへ押し倒されていた。


< 36 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop