【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
Ⅲ.
「莉羽てぃん、なんだかさっぱりした顔してるね!? なんかいいことでもあった?」
朝。
登校した私の顔を見るなり、環が驚いたように駆け寄ってきた。
「そう……? いっぱい寝たからかな……」
昨日のことを思いだした途端、かああっと顔が熱くなり、前髪を直すふりをして赤くなっているであろう顔を隠す。
私、昨日あんな恥ずかしい姿を琥珀くんに見せちゃったんだ……。
昨夜はあのまま琥珀くんの腕の中で眠ってしまった。
そして今朝は数年ぶりに、朝日が昇るまで眠っていた。
深夜起きは身体に染みついているはずなのに、よほど深い眠りだったのか、東郷さんに起こされるまで起きなかった。
目を覚ますとそこに琥珀くんの姿はもうなかった。
東郷さんは、あいつならもうシゴトに行ったよと教えてくれた。