【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
「東郷さん、どうしてここに?」
すると東郷さんは気だるげに長い金色の前髪をかきあげる。
「今日、正式に拝命された。今日から俺があんたの世話係だと」
「え?」
世話係?
わざわざどうして?
私は生贄のつもりで、琥珀くんの元にやって来たのに。
「さ、詳しいことは車の中でだ。早く乗れ」
クエスチョンマークを頭の上に浮かべる私の戸惑いを察した東郷さんが、私を車の中へと促す。
ドアを開けられ、車体に頭をぶつけないよう手で守られ、なんだかこんなのお姫様になった気分。
やっぱり意味がわからない。