【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
すると東郷さんが横目でちらりと私を見る。
「どうしてとでも言いたげだな」
「……はい」
「まあ、あいつ的には信頼できる奴に任せたかったんだろうよ。今となっては大組織の頭だが、人間なんて基本信用してない男だからな」
ずっと思っていたことだけど、絶対的な存在である琥珀くんの扱いに時折手を焼きながらも大切に思っている、そんな様子が東郷さんの言葉の端々から伝わってくる。
だからこそ、琥珀くんも東郷さんのことを信頼しているんじゃないかって、まだふたりに出会ったばかりだけどそう思った。
「東郷さんは琥珀くんと親しいんですか?」
するとやっぱり、答えは想像通りで。
「親しいというか腐れ縁だな。小学生の頃からの同級生だ」
「幼なじみなんですね」
「まあ、言ってみればそういうことだな」