【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
テーブルの向かい側では、夕食を前に目を輝かせる私を見て、頬杖をついた琥珀くんが可笑しそうにくすりと笑う。
「お腹いっぱい食べな」
その言葉を合図に、私はありがたく手を合わせた。
「いただきます」
言い終わるや否や、まず始めにほかほかの湯気が立つデミグラスソースのオムライスをぱくりと頬張る。
と、今まで経験したことのない神秘が口の中に広がり、私は左手を頬に当てた。
「んん……!」
なにこれ……おいしすぎる……!
こんなにおいしいものがこの世に存在するなんて。
ほっぺが落ちるって、きっとこういうことを言うんだ。