【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
咄嗟に思考を巡らせ、私は強引に話の舵を切った。
「わ、私、琥珀くんに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと? なに?」
よかった、なんとか話を切り替えることができたみたい。
ほっとしながら、私は今までずっと気になっていたことを口にした。
「どうして私のことなんて買ったんですか?」
お父さんとお母さんの借金はきっと膨大だったはず。
それを帳消しにするために私は売られたけれど、私にその対価となりえる価値があったんだろうか。
そんなことが、ずっと頭から離れなかった。
すると。
「ちょうど女がほしかったんだよ」
適当な口調でそう答える琥珀くん。
その女がたまたま私、だったというわけだ。
琥珀くんにとって私は、貧乏くじだったかな。
それなのに私はふかふかなベッドで朝まで眠って、豪華なご飯を食べて、学校には送迎つきでしっかり通わせてもらって。
今までは想像もつかなかったほど恵まれた環境に置いてもらっているのだから、借金全額分……とは言えないかもしれないけど、少しでもそれに見合った働きをしたい。
乳白色のお湯の中、私は自分の膝を抱える腕にぎゅっと力を込めて、決心を強くする。
「頑張ります、こんなによくしてもらってるんだから……。愛人としてしっかり役に立てるように」