【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


すると、琥珀くんが小さく首を傾げた。

そんな何気ない仕草さえ色っぽくて。


「つーか、なんでそんなこと聞くの?」

「琥珀くんのこと、なにも知らないなって……」


今日の昼間、環に琥珀くんのことを聞かれて、なにも答えられなかった。

あの時は漠然といつか知れればと思ってたけど、今は昼間よりもっと、琥珀くんのことを知りたいと思ってる。


「教えてください、琥珀くんのこと」


すると琥珀くんはわずかな間、瞬きもせずに私を見つめ、それからじんわり微笑んだ。


「いーよ。歳は20。誕生日は4月。猫派。好きな食べ物は──」


< 69 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop