【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
それから琥珀くんは私に、琥珀くんのことをたくさん教えてくれた。
私はそれを取りこぼさないよう、ひとつひとつの情報を頭の中のメモ帳に書き記していく。
謎に包まれていた人物像が、少しずつ輪郭を描き始める。
そして一通りのことを教えてもらった頃。
「じゃー俺も聞いていい?」
琥珀くんが私の肩に顎を乗せ、耳元で責めるような声音で問いかけてきた。
「おまえはなんでタオルなんて巻いてるわけ?」
……うう。やっぱり。
これからのことも考えると、隠しきれないよね……。
私は下唇を噛み締め、躊躇いがちに呟く。
「それは、傷物なので……」
小さな声でぽつりとこぼれた声は、立ちこめる湯気の中に消えていく。