【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
そしていつからそこにあったのか、ベッド脇に置いてあった紙袋を私に差し出してきた。
「これ。遅くなったけど」
「開けていいんですか?」
「ん」
膝に頬杖をつき、愉しげに私を見つめる琥珀くん。
その視線の先でおそるおそる紙袋を開ける――と、その中に入っていたものに驚愕した。
「え……これ、スマホですか?」
それは夢にまで見た代物だった。
何度も憧れては、私なんかが持てるようなものではないと諦めていたのに。
「そ。スマホ。持ってなかっただろ」
「私に……?」
「そうだよ。おまえの」
信じられなくて。
でも何度ぱちぱちと瞬きをしても、手の中にあるものは煙をたてて魔法のように消えたりしない。
夢じゃ、ない。