【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
「いいんですか……私が、こんな」
「当たり前だろ。なにかあった時に連絡とれないとこっちも困るし」
鼻の奥がつんと痛む。
こんな幸せを与えてもらって、本当にいいのかな……。
パジャマの襟元をぎゅうっと握り、それから震える声を絞り出す。
涙の気配に負けないように。
震えて消えてしまわないように。
「ありがとうございます。一生、大切にします」
「はは、大袈裟」
深く切り込みの入ったアーモンドアイを細めて、可笑しそうに笑う琥珀くん。それから。
「ちなみに俺の連絡先入れておいたから。俺が莉羽ちゃんのトモダチ一号な」
「はい」
琥珀くんの言葉は、いっそう私の心を柔く解した。