【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
*
「莉羽! 遅い! 酒のひとつも満足に出せないのか……!」
茶の間の方から、父と呼ぶべき人の怒声が聞こえてくる。
台所で洗い物をしていた私は、急いで声をあげる。
「はい、ただいま!」
学校が終わり、さっきまでクリーニング店でバイトをしていた私は、まだ夕食をとってもいない。
お父さんもお母さんも、家に帰った時にはもうお酒を飲んで酔っ払っていた。
家計が苦しいというのに、ふたりは働こうともせず、お酒やギャンブルにばかりお金を溶かしている。
だから私が掛け持ちでしている、クリーニング店と新聞配達のバイトが主な収入源だ。