【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


そう思った時、スプリングに腰掛けた黒堂が煙草の息を吐き出しながら笑った。


「言っとくけど、逃げ出そうなんて思うなよ」

「え……?」

「ま、できるもんならやってみろって話だけど」


暗闇に目が慣れてきたせいで、ようやく気付いた。

この空間にいるのが、私と黒堂のふたりじゃないことを。

何人もの黒堂の手下が、私たちを囲んでいた。


なんで私に拘束具が着けられていないかがわかった。

着ける必要がないからだ。

< 87 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop