【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて


「あんただろ、最近楪がご執心だっていう愛人は」


黒堂が、くいと私の顎を持ち上げ、顔を寄せる。

私はできる限りの抵抗をするように、ふいっと顔を逸らした。


「まさかこんな普通の女子高生だとはな。腑抜けてんな」


黒堂の言葉に合わせ、あちこちから複数の笑い声が重なる。


絶体絶命ってこういうことを言うんだろう。

心が恐怖に支配され、身体が言うことを利かなくなりそうになる。


でもだめ。

心を恐怖に乗っ取られたりなんてしたら。

こんな時こそ平常心を保たなきゃ……。

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