【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
……いつからこうなったんだろう。
お父さんの経営していた会社が倒産し、お母さんが腰のケガで会社を解雇され、それが不運にも重なり、我が家はおかしくなってしまったんだ。
ふたりともまるで生きる価値を見失ったように怠惰な生活を送るようになり、行き場のない不満を私にぶつけるようになった。
お父さんから言葉の暴力を浴びせられるのは日常茶飯事。
時には手や足や物が飛んでくることもある。
おかげで私の腕や足には、無数の痣が絶えない。
お母さんは娘がどんなに虐げられていても見て見ぬふり。
いつも感情のない瞳で虚空を見つめるばかりで、一度も止めてくれたことはない。
昔からそこまで仲のいい家族ではなかったけれど、今よりは幸せだったはず。
でも今となっては、あの日の家族の形を思い出すことはできない。