【完】生贄少女は冷酷暴君に甘く激しく求愛されて
東郷さんに促され、琥珀くんが立ち上がる。
「……後は頼んだ、東郷」
「了解」
「行くぞ、莉羽ちゃん」
何人もの相手を倒した後だというのに、琥珀くんは私をひょいと軽く持ち上げ、お姫様抱っこをする。
重いからと降りようとしたけど、沼の底にいるかのような徒労感に襲われて動けず、琥珀くんのされるがまま。
細い腕のどこにそんな力があるんだろう。
でも、たしかに私を支えてくれる、強く温かな安心感。
外にある車へと運ばれながら、安堵からか疲れからか、少しずつ意識が遠ざかっていくのを感じた。
やっぱり、琥珀くんにしか触れられたくない……。
私をこんなに乱すのも、安心させるのも、どきどきさせるのも、全部琥珀くんだけなんだ……。