年下双子の溺愛トリック
「ちょっ…、姫奈、落ち着けって」

興味津々で、グイグイ距離をつめる私にひーちゃんは、なぜか若干頬を赤らめている。

すると。

「はーい、そこまで。姫奈ちゃんちょっと落ち着こうか」

私とひーちゃんを引き離したのは、様子を見守っていたすーちゃんだ。

サッと私の肩をつかみ、距離を取らせるすーちゃんに私は目をパチパチとしばたたかせる。

…な、なんかすーちゃん、機嫌悪い?

いつも通り微笑んでいるはずなのに、なんだか背後に黒いオーラが見えた気がして「…はい。ごめんなさい。落ち着きます…」と私は素直に従った。

すーちゃんって普段は紳士的で優しいんだけど、怒ると本当に怖いんだよね…。

幼なじみの経験から、素早く危険を察知した私は彼の言う通りおとなしく口をつぐむ。

「さて、と。姫奈ちゃんも落ち着いた所で、本題にはいろうか。ほら、密、お前はいつまで照れてんの?」

「なっ…!別に照れてねーし。適当言うなよ、素直」

ギロリとすーちゃんを睨みつけるひーちゃん。

しかし、全く動じてないすーちゃんは、ひーちゃんの言葉を完全にスルーをしたかと思うと。

「…で、姫奈ちゃん。どうする?陽兄とのこと、僕らが協力してあげようか?」

私に向かって、そう問いかけてきた。
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