年下双子の溺愛トリック
キッチンの近くにある時計を横目で見ると、11時40分をさしていた。
たしかに2人が来てからゆうに40分以上は待たせてしまったことになる。
「おばさん、いいんですよ。俺らももうちょっと気がけてあげられればよかったんですけど…」
「ゴメンねぇ、密くん。うちのバカ娘がいつも迷惑かけちゃって〜」
申し訳無さそうにスプーンを置いて頭を下げるひーちゃんに、母はデレデレした表情を浮かべていて…。
ふんっ、実の娘よりお母さんってば、いつも2人を優先するんだもんなぁ。
それに相変わらず、ひーちゃんてば、うちのお母さんの前だと、普段と全然態度違うんだから嫌になる。
「おばさん、オムライスすごく美味しいです」
「あら〜。素直くんってば褒め上手ね〜。おかわりあるからいっぱい食べてね。…ほら、姫奈、あんたの分もちゃんと作ってあげてるから早く座っちゃいなさい。お母さん、今から買い物に出かけてくるからね。ちゃーんと密くんと素直くんをおもてなしするのよ」
「…は〜い」
エプロンを近くのソファにかけ、買い物に出かける準備をする母を横目に私は小さく返事をした。
「オヤツも冷蔵庫に入ってるからね。あとで出してあげるのよ?」
「もうっ。わかったってば〜。いただきまーす」
母は最後に私へ呆れた視線を送り「密くん、素直くんごゆっくり」と満面の笑みでリビングを出て行ってしまう。