年下双子の溺愛トリック
なんて、何気なく口に出したそんな言葉。
その瞬間、ひーちゃんもすーちゃんもほぼ同じタイミングでピタリと立ち止まってしまった。
「…あれ?2人とも急に立ち止まってどうしたの?」
くるりと後ろを振り返り、バツが悪そうな彼らに視線を合わす。
すーちゃんはともかく、いつもズバズバ何でも言ってしまうひーちゃんですら、言いづらそうに口ごもっている姿になんだか違和感を覚えた。
…2人とも、急にどうしちゃったんだろう…?
そして、しばらくの沈黙のあと。
「…あのさ、姫奈」 「姫奈ちゃん、あのね…」
2人が意を決したように口を開いた。
その時だった。
「あれ…?密に素直?どうしたんだよ、こんなところで…。それに姫奈まで。休みの日に3人で遊んでるの珍しいな」
背後から聞こえてきた元気な声に、私は不覚にもドキンと、胸が高鳴ってしまう。
振り返らなくても誰だかわかるその声に、私は緊張して小さく息を呑んだ。
「陽兄…」
「今日、クラスマッチの練習じゃなかったの?」
驚いた双子の問いかけに。
「午前中して、午後からは皆で遊ぶかってなってさ。さっきまでゲーセンにいたんだよ」
そう答えた陽くん。
私もチラリと後ろを振り返った。