年下双子の溺愛トリック
「ちょっと〜…。姫奈ってばまた、陽先輩のこと見てる。てか、そんなに好きなら、さっさと告白すればいいじゃん」
「…っ!?奈々生(ななみ)ちゃん!?そ、そりゃ、陽くんにいつかは告白するつもりだけど…。まだ、時期じゃないっていうか…」
モゴモゴと口ごもる私に呆れた視線を投げかけているのは、友達の川口奈々生ちゃん。
170センチの長身で、スタイル抜群。
サラッとした茶色のショートヘアの美人さんで、その中性的な顔立ちから、カジュアルな格好をしていると男の子に間違われることもあるとか。
さらに、中学時代はバレー部に所属していた奈々生ちゃんは、鈍くさい私とは違ってスポーツ万能。
天は二物を与えないとか言うけれど、彼女を見てるとそんなことはないって思わされる。
「姫奈、時期とか言ってると、どこぞの可愛い女子にかっさらわれるよ〜。陽先輩って結構モテるみたいだし」
ニヤッと綺麗な顔でほくそ笑む奈々生ちゃんに、私は「…うっ」と言葉を詰まらせた。
「それは、わかってるけど〜…。だって、陽くんどう考えても私のこと妹以上に思ってない気がするもん」
陽くんと廊下ですれ違う時。
『ほら、姫奈の好きなチョコだぞー』
『本当お前は小さくて可愛いなぁ〜』
と、昔から扱いが変わらないのだ。
小さい頃は、構ってもらえて嬉しかったけれど、最近では全く女の子として見てもらえてないのではと、悩みのタネだったりする。
「うーん〜…。それは、なんとも言えないけど…。でもさ、告白すればもしかしたら女子として見てくれるかもじゃん?姫奈だって、ずっとこの関係でいいって思ってないだろうし」
そんな私と陽くんの関係を知っている奈々生ちゃんのアドバイスに私は「そうだよね…」と小さく頷いた。