年下双子の溺愛トリック
春輝先輩、陽くんも私達に向かってそれぞれ声をかけると、くるりとその場で踵を返した。
「ねぇねぇ。私、ちょっと歩き疲れたからカフェで休憩したいな」
「いいじゃん。俺もちょうど喉乾いたし」
「私も賛成〜」
長松先輩の提案から、モールの中にあるカフェに行くことになったようで、楽しそうに会話をしながら去っていく陽くん達。
そして、4人の姿が見えなくなった頃、私はようやく緊張の糸がほぐれたのか小さな息をつく。
「姫奈、行きたくないなら行きたくないって言わねーと」
「まぁまぁ。密。あの場で断るのはなかなか勇気いるって。相手、先輩だし」
「ううん…。ひーちゃんの言う通りだよ。私がハッキリしないのがいけなかった。でも、2人ともありがとね。私が言いにくいのわかって、かわりに断ってくれたんでしょ?」
「まぁ、俺もあんまり乗り気じゃなかったし」
「姫奈ちゃんといるほうが楽しいしね〜」
そんな彼らの返答に私はクスッと微笑んだ。
嫌味を言いつつもなんだかんだ優しいひーちゃん。
物腰柔らかく、気づかい上手のすーちゃん。
2人がいてくれてよかったなと改めて感じた日となった。
…あれ?
そういえばさっき2人とも何か言いかけてなかったっけ…?
陽くん達の登場ですっかり頭から消えていたが、私は先ほどのやり取りを思い出す。