年下双子の溺愛トリック
「姫奈、ゴメン…!本当に私、タイミング悪くて…」
「う、ううん。夏奈(かな)ちゃんのせいじゃないもん。そんなことより、ケガは大丈夫なの…?」
今にも泣き出しそうな表情で私に謝っているのは、同じクラスの岡田夏奈ちゃん。
彼女の右腕は、包帯でぐるぐる巻にされていてかなり痛々しい。
「うん。軽い捻挫だから…。しばらく安静にすれば大丈夫みたい」
「夏奈、姫奈もこう言ってるし気にしないの…!部活でのケガだししかたないよ。とりあえず、早く治さないとでしょ?」
夏奈ちゃんに向かって、そう声をかけたのは奈々生ちゃんだ。
バレー部に所属している夏奈ちゃんは、どうやら昨日の部活の練習時に手首を捻挫してしまったらしい。
幸い骨には異常はなかったものの、しばらくは安静が必要との診断を受けたようだ。
「でも〜、姫奈、スポーツ苦手なのに。私は姫奈がクラスマッチで、ケガするんじゃないかって心配だよ…」
心配そうに私を見つめる夏奈ちゃんに私は心の中で苦笑いを浮かべる。
…うっ、ケガ人の夏奈ちゃんにまで心配させてしまうとは自分のことながらなさけない。
そう、実は恐れていた事態が起きてしまった。
夏奈ちゃんは、私と同じでクラスマッチはバスケットボールに参加予定。
つまり、その彼女が参加できないとなると、必然的に補欠の私に出番が回ってくるわけで…。