年下双子の溺愛トリック
再度、横目でグラウンドを見るともうすぐ昼休みが終わるからか、ゾロゾロと校舎に生徒達が戻ってくる姿が目に入る。
その中には陽くんの姿もあった。
友達と肩を組みながら楽しそうに戻ってきている彼に思わず頬が緩む。
けど、そんな陽くんの側には同じクラスなのか、可愛い女子の先輩達の姿もあって…。
クラスマッチの練習を見ていただけなんだろうけど、ほんの少しだけ胸がざわついた。
いいなぁ…。私も陽くんと同じクラスだったらあの先輩達みたいに堂々と応援したりできるのに。
肩を落としている私の様子を見て奈々生ちゃんは。
「まぁ、姫奈には、姫奈のペースがあるだろうしね。無理に告白しろっては言わないよ。ただね。何もしないで後悔するのは姫奈にとって良くないと思うんだ」
そう言って、私の頭をよしよしと撫でてくれる。
「それに、私はいつか姫奈が"あの2人"の毒牙にかかってしまう前に、優しい陽先輩と付き合ってもらいたいのよね〜…」
「え?」
「あはは…。なんでもない、なんでもない!さ、昼休み終わるし私はそろそろ席に戻るわ」
苦笑いを浮かべ、サッとお弁当箱の入った袋をを手に取り、奈々生ちゃんは自分の席に戻って行ってしまう。
"あの2人"…?
最後にポツリとつぶやいた彼女の言葉が気になりつつ、私は小さく首を傾げたのだった。