年下双子の溺愛トリック
テンテンと何度か地面をハネて、転がっていくボール。

本当に私って、運動オンチだな…。

心の中でため息をつき、再度ボールを取りに駆け出そうとしたその時。

公園の入り口付近まで転がったボールをサッと手に取った人物に私は目を見張る。

「あれ?ひーちゃん…?」

そこに立っていたのは、制服姿のひーちゃんだった。

何でひーちゃんがここにいるの??

ツカツカと無言で歩み寄ってくる彼に私は戸惑う。

「ほら、ボール」

「あ、ありがとう…。でもひーちゃんが何でここに?」

不思議に思って問いかける私に向かって。

「…姫奈の家に行ったら、おばさんにここだって聞いたから」

と、ぶっきらぼうにひーちゃんは、そう呟いた。

「…?そうだったんだ。私に何か用事?」

「あぁ。ちょっとな……。てか、それより姫奈こそ急にバスケの練習って…。どういうことだ?」

「あ〜…。実は明日クラスマッチで、私、バスケの補欠メンバーだったんだけど、元々試合に出る予定だった子がケガしちゃってね。急遽私に出番が回ってきたから、迷惑かけない程度に練習をと思って…」

あははと、苦笑いを浮かべた私にひーちゃんは「へぇ…」と物珍しそうな視線を送る。

ひーちゃんのことだから、どうせバカにされるんだろうなぁ…。

昔からスポーツが得意なひーちゃんには、運動オンチなことよくからかわれてたもんね。
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