年下双子の溺愛トリック
そんなことを思い出し、心の中で大きなため息をついた時。
「ふーん…。俺が教えてやろうか?」
突然、そんなことを言い出すひーちゃんに私はパチパチと目をしばたたかせる。
「え?何を…?」
思わず、キョトンとした表情を浮かべた私に彼は呆れたように息を吐いた。
「何ってバスケだよ。明日クラスマッチなんだろ?つか、この状況で他に何を教えんだよ…」
「あ。あはは。そうだよね…。え、でもいいの?」
普段だったら、からかってくるだろうひーちゃんからの予想外の提案。
未だに信じられない気持ちで私がそう問いかけると。
「…貸してみ?」
先ほどひーちゃんから返されたボールを要求され、私は「はい…」と素直に手渡した。
次の瞬間。
ーーダムダム。バッ、ザシュッ。
…す、すごい!
その場でボールを数回つき、軽くボールを投げたひーちゃん。
私の時とは打って変わって、ボールは吸い込まれるようにゴールネットへと入っていく。
「ひーちゃん、すごい!何でそんなに軽く投げて入っちゃうの!?」
自分が何度やってもできなかったことを1回で、しかもいとも簡単にやってのけてしまったひーちゃんに私は興奮気味に詰め寄った。
「…ちょっと落ち着けって。とりあえず、姫奈も1回投げてみて」
「う、うん」
コクリと頷いた私は、近くに転がっていたボールを手に取り、再度ゴールに向かって向き直る。