年下双子の溺愛トリック
大体、二人はいつも一緒にいることが多くて、ひーちゃんだけとこうやって話すのも久しぶりだ。

公園の時計を見ると、もうすぐ18時になろうとしている。

だんだんと日が傾いてきているのを確認し、私はおもむろに立ち上がった。

そして。

「そろそろ帰ろっか…。ひーちゃん、今日はつき合ってくれてありがとね。本当に助かっちゃった!今度、何かお礼するね…!…あ!そうだ。良いこと思いついた…!明日のクラスマッチで私がゴールしたら陽くんにもう1回告白再挑戦するなんてどうかな?」

と明るく声をかけたのだが…。

グイッ。

突然、座ってるひーちゃんに手を引かれ、私はバランスを崩し、後ろに倒れ込んでしまう。

「…!?」

さらには、後ろにいたひーちゃんの膝に座るような形になってしまい、私は恥ずかしさからカーッと頬に熱が集まるのを感じた。

「ひ、ひーちゃん…ゴメン、すぐどくから!!」

慌てて立ち上がろうとした私を阻止するように、後ろからギュッと抱きしめるひーちゃんに思わずカチンと身体が固まってしまう。

ひーちゃん、急にどうしちゃったの!?
なんかいつものひーちゃんじゃないみたい…。

ドキドキと早くなっていく心臓の音がひーちゃんにも聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい距離が近くて戸惑っている私に向かって。

「…姫奈、クラスマッチが終わったら俺、お前に言いたいことあるんだ」

ひーちゃんは、消え入りそうな声で口を開いた。

言いたいこと…?

普段、自信満々なひーちゃんからは想像できないくらいの弱々しい声に私は、ゴクリと息をのむ。

その時だった。

「あれ?密と姫奈ちゃん…?こんな所で何してるの?」

ビクッ。

聞き覚えのある声に名前を呼ばれた私は反射的に、ベンチもとい、ひーちゃんの膝の上から立ち上がっていた。

「す、すーちゃん…?」

公園の入口に立っていたのは、学校帰りのすーちゃんで。

今の、見られてない…よね?

と焦る私をよそに、すーちゃんは駆け足で私達の方に向かってやって来る。
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