年下双子の溺愛トリック
4.双子のヒミツ
ーーダムダム。キュッ、ザシュ…!
クラスマッチ当日の体育館内に響き渡るのは、ボールがハネる音とフローリングを擦るシューズの音。
そして。
「頑張れぇ〜」
「落ち着いて!まず1本だよ!」
たくさんの生徒からの大きな声援だ。
ど、どうしよう…。緊張してきちゃった…。
自分のクラスの出番が近づいてくる度に、バクバクと高鳴る鼓動に私は血の気が引いていく。
「姫奈、大丈夫…?」
「顔色悪いよ、具合悪い?」
そんな私を心配そうに見つめているのは、すでにクラスマッチの出番を終えた奈々生ちゃんと、ケガで見学をしている夏奈ちゃんだ。
「う、うん。大丈夫だよ。心配かけちゃってゴメンね」
そう口では言いつつも、やっぱり多少緊張してしまうのはしょうがないのかもしれない。
「キャー!陽〜!」
「道枝先輩、カッコいい!!」
その時、私の耳に聞こえてきた黄色い声援に、私はチラリと視線を移す。
隣のコートでは、男子バスケットボールの試合が行われていて、観戦者は、女子生徒が大半を占めていた。
しかも聞こえてくる名前から予想するに、どうやら陽くんのクラスの試合みたい。
とりあえず、自分のクラスの試合が終わらないと、陽くんの試合を応援する余裕がないよ〜…。